歩行の土台は、椅子の上で崩れている。
「歩くための講座なのに、なんで座り方?」――そう思われたかもしれません。
実は発達学的に見ると、人間の動きは 「座る → 立つ → 歩く」 という順番で組み上がっています。赤ちゃんがハイハイの次に「おすわり」をするのと、同じ順番です。
この土台が崩れていると、立っても歩いても、崩れを引きずったまま動くことになります。
今、椅子に座っているなら、お尻の下に手のひらを差し込んでみてください。ゴリゴリとした2つの骨が当たりますか?これが坐骨結節(ざこつけっせつ)――骨盤の一番下にある骨です。
正しい座位とは、この坐骨2点の上に、骨盤がまっすぐ乗っている状態。骨盤が立つと、その上に背骨が自然に積み上がり、自力で支える力を使わない姿勢になります。
逆に、多くの方は尾てい骨や太ももで座っています。この座り方だと、骨盤が後ろに倒れ、背中が丸まり、立ったときにもハムストリング・お尻・股関節が正しく使えない身体になってしまいます。
「猫背を直すために背筋を鍛えて」
背筋の問題ではなく、座る骨(坐骨)を忘れているだけ。整えば背筋は自然と伸びる
坐骨で座ったまま、両足を床から5cmだけ浮かせてみてください。ぐらつかず5秒キープできますか?できれば、骨盤がしっかり立っている証拠。ぐらつく方は、まだ太もも・尾てい骨で座っているサインです。
多くの方が、こう感じます
デスクワーク中心の50代女性。「歩くと1時間で膝が痛む」と来院。座り方を見ると、尾てい骨で座り、骨盤が後ろに倒れていました。座位を坐骨に乗せる指導だけで、数週間後「歩いても膝が楽になった」と。歩行の問題だと思っていたものの正体は、8時間の座り方だったのです。
座位の土台ができたら、次は立位。
「立っているとき、重心はどこ?」
その答えは、あなたの歩き方を変えます。